いらっしゃいませ。ワタリです。
このブログは新卒で小売業に入社し、店舗勤務→人材業界→IT業界と小売店舗から2回の異業種転職をしてきた実体験をもとに、異業種転職のポイントをまとめています。
今回は企業に刺さる自己PRのポイントを振り返ります。
自己PRの目的

転職活動での自己PRは「企業の立場で、あなたを採用した場合のメリット」「採用すべき理由」を伝える場で、性格や人柄などの長所を伝える場ではない、というスタンスが重要です。
面接で自己PRが企業に刺さっていない場合、まず最初にこの認識を考えてみてください。
そもそも人材の募集というのは、事業をする上で困っていること(人手が足りない、新しいことにチャレンジする…)をなんとかするために行います。そのため、「この人ならこの困っていることを何とかできそうだ」と思ってもらうことが重要です。
この、何とかできそうだと思える根拠を示すのが自己PRです。
当然、人を採用するので「性格や人柄などが会社に合っているかどうか」はとても大切ですが、まずは企業が抱えている課題の解決に貢献できそうだと思ってもらいましょう。性格や人柄のざっくりなものは面接をしている中である程度は伝わります。
ただ、転職の面接ということを考えると、定性的な内容を全く伝えなくて良いわけではありません。定性的な内容で伝えるべきは「仕事に対するスタンス」です。
企業としてはお金をかけて採用するので、やはり一生懸命仕事する人が欲しいわけです。この”私がやっている「一生懸命」というのはこういうものです”というのが伝わるよう、エピソードを交えて伝えてください。
実際は「仕事まったりゆる〜くそこそこでいい」と思っていても、目の前に業務が振ってきたり仕事を作らなければならなかったりと、何か手を動かすと思います。その時にどんなことを考えて仕事をするかを言語化しましょう。
自己PR作成の手順
求人の「応募資格」を確認する

企業の出す求人には色々なことが書いてあります。職務内容や賃金、福利厚生などはよくご覧になっているかと思いますが、「応募資格」をよく見るようにしましょう。
応募資格には
・ 必須条件 ・ 歓迎条件 ・ 求める人物像
といったことが書いてあります。「こういう人が欲しい」と言っているわけですから、テストでいうと答えが書いてあるようなものです。
異業種転職の自己PRでは、この歓迎条件と求める人物像を満たせるかどうかを伝えてください。
ほとんどの求人では、必須条件はその職種のテクニカルスキルであることが多いです。そのため、未経験の異業種転職ではこの領域で説明することはできません。
しかし、歓迎条件はポータブルスキルになっていることも少なくありません。テクニカルスキルが書かれていても、必須条件よりもハードルが下がっていることが多くなっています。(テクニカルスキル・ポータブルスキルについてはこちらの記事)
求める人物像には上記の仕事のスタンスに当てはまるものが書かれています。「この仕事をするにあたって、こういうスタンスで仕事をする人を求めている」ということです。
未経験の異業種への転職では、
・ (歓迎条件)を満たす(ポータブルスキル) ・ (求める人物像)を満たす(仕事のスタンス)
を説明できるようにし、(必須条件・テクニカルスキル)は未経験だがいつまでにどのように習得していきたいと考えているのか伝えるようにすると、どの企業でも納得してもらえていました。
これまでの仕事の成果を洗い出し、共通点を見つける

これまで説明していたことを企業に伝えるには「現職での仕事の成果」が重要です。
自己PRとは、企業の課題に対して「この人なら何とかできそうだと思える根拠を示す」ものであり、事実を元にした説明が必要です。
考える流れとしては、
- これまでの仕事で出した何らかの成果や成功体験を具体的に書き出す
- それぞれの成果や成功体験で成果に繋がった行動や要因を具体的に書き出す
- 列挙した行動・要因の共通点を見つける(→これが強み)
- 求人の「求める人物像」から外れていないか検討する
という順番で考えると良いです。
話す時には、3⇨1⇨2の順番で話せば事例つきの自己PRが作れます。
・私には(強み)があります。 ・それによって〜〜な成果を出しました。 ・成果を出せた要因は〜〜。 +なので、貴社へ入社後も(強み)を生かして(事業課題)解決に寄与できるよう尽力します。
というような流れは大まかに作れます。余裕があれば共通点だけでなく、
- 相違点
- 相違点ごとの成果の大きさの違い
- 相違点が発生するきっかけ
- なぜ相違点によって成果の大きさが変わるのか
まで整理しておくと良いでしょう。
この時、どのように表現するか、応募先の企業の事業や商品との相性は考えましょう。
例えば、小売店の販売員として勤務していて、興味のある求人の歓迎条件に「販売経験×◯年」と書かれているケースを考えてみましょう。
この場合、自社の販売形態が
①購買頻度が高く、単価の安い商材を販売する
顧客のニーズを数秒〜数十秒というスピード感でキャッチ、数ある商品から最適な物を瞬時に提案することが必要。また、同時に店内在庫が次々に売れていくので、リアルタイムで店内在庫(種類・売価・数量・色・サイズ等)を把握し続ける能力が必要。効率よく、スピーディに、リアルタイムでモノと情報を照合しながら数多く販売するスキル。
②購買頻度が低く、単価の高い商材を販売する
まずはラポール形成をした上で、顧客のニーズを丁寧に一緒に言語化、「何となく欲しい」を「これがいい」に納得できるようにしつつ、家族など複数人に合意を得る提案が必要。リードタイムは比較的長いが、オーダーなどで納期のイレギュラーも発生するため、プロジェクトマネジメントのような販売スキルが求められる。
BtoBの営業でも、中小企業向けか大手企業向けか、買い切り型かサブスクリプション型かなどで営業に求められるスキルやスタンスは大きく異なります。自分の持っているスキルやスタンスが、どのような業界者職種、商材の企業と相性がいいかも考えましょう。
数字で表現できているか検証する

成果を元にポータブルスキルを説明する場合、しっかりと数字で説明することが必要です。特に、自社や業界内の平均と比較してどの程度の成果なのかはっきりとわかるようにしましょう。
いかに「自分はできる」と言ったとしても、具体的な数字がなければそれがどの程度の成果なのか判断できません。
応募先の企業が同じ業界や職種であれば、販売金額などでどの程度のレベル感なのか判断してもらえます。しかし、異業種の場合、数字で成果を示しても、面接官側にはそれを測る物差しがありません。ですので、成果を出した時に
・ 自社内でどの程度のレベル、順位なのか ・ 業界内の競合と比較してどの程度のレベル、順位なのか
がわかるように調べておきましょう。
自社内の順位についてはおそらく調べられると思います。業界内の位置は完全に正確な数字はわかりませんが、競合企業の決算説明資料などで競合企業の平均がおおよそ計算できます。いくつかの競合企業の平均と比べた自社の平均と、自分(自部署)の数字を比較すれば、ある程度の説明はできるかと思います。
少なくとも、手元に無いデータをかき集めて自分のポジションを客観的に把握しようとするスキルやスタンスは説明できるでしょう。
未経験の異業種へ転職する場合でも、
- 歓迎条件に当てはまるポータブルスキルがあるか
- 求める人物像に当てはまるスタンスを持っているか
- どのようなポータブルスキル・スタンスなのかを事例と数字(平均との比較)で示す
といったことを丁寧に言語化できれば、問題なく企業に刺さります。
まずは書き出すなどして、言語化していくと、これまでの成果などいくつかの数字を調べる必要が出てくると思います。その数字はどのように生み出したのか、そのスキルやスタンスはどんなものなのかを明確にしましょう。
求人にある応募資格に近しいものがあれば、十分面接でも伝わると思います。
より良い転職活動に、少しでもお役に立てると嬉しいです。
ありがとうございました。またどうぞお越しくださいませ。