異業種への転職で企業に響く志望動機作成の3つのポイント

異業種転職ノウハウ

いらっしゃいませ。ワタリです。

このブログでは新卒で小売業に入社し、小売(店舗管理)→人材業界(営業)→IT業界(リサーチャー)と異業種転職をしてきた実体験をもとに、異業種転職のポイントをまとめています。

今回は、企業に響く志望動機の組み立て方を考えます。

私は2回の転職でどちらも業界・職種を変えています。

中途採用では企業は即戦力を求める傾向にありますが、未経験の異業種転職でもしっかりと志望動機を伝えられると面接の通過率も高まるはずです。

それでは、考えていきましょう。

志望動機の目的

志望動機は仮説思考と実態の擦り合わせ

私は志望動機を「仮説思考と実態の擦り合わせ」だと考えていました。

自分の興味関心や課題、困っていることや今後の方向性などを踏まえ転職を検討するに至った問題意識と、それを解決させるのに異業種転職が適しているのでは、と考えるのは仮説思考です。この仮説が適切かどうかは自分の頭だけで考えていてもわかりませんので、それを実際に働いている人にぶつけてその仮説と擦り合わせます。

適切であれば筋が良い仮説だったということでそのまま異業種転職を突き進めば良いですし、反応が悪ければ仮説そのものを修正していけば良いわけです。

志望動機は概ね面接の序盤で聞かれますので、ここで反応がよければ面接そのものも良い雰囲気で進みやすいと思います。

志望動機で聞かれるのは一般的に

  • なぜその仕事(職種)をしたいのか
  • 同じような仕事ができる競合企業ではなくなぜその企業でやりたいのか

だと思います。

しかし、それだけでなく

  • なぜ転職しようと考えているのか

も必ず考えましょう。実際、面接の場で必ず聞かれますし、順番で考えても「御社を志望しています!」よりも「転職したいと思っています!」の方が先です。

これらを踏まえると志望動機を組み立てるにあたって言語化すべきは

  • 自分が抱く問題意識
  • 異業種転職でなぜその問題が解決し得るのか(なぜ現職ではダメで、その仕事なのか)
  • 競合と比較して志望企業が最適な理由

の3点です。この意識で面接に望んでいた結果、面接の評価は概ね高かったと記憶しています。

志望動機に入れるべきこと

自分が抱く問題意識

自分がやりたいこと、なんとかしたいこと、身につけたいこと、など。

これを考える時に重要なことは

  • なぜそれをやりたいと思ったのか(背景や経緯、問題意識)
  • それを達成することでどんなご利益があるのか(自分/組織)

で、単にそれをやりたい成し遂げたいだけではなく、その前後についてしっかり言語化することが重要です。

なぜ現職ではダメで、その仕事なのか

抱いている問題意識を解決するために、

  • 現職でのキャリアアップや異動ではなく、転職するのが最適な理由はなぜか
  • 同じ業界や職種ではなく異業種へ転換する必要性

これがわかると解決策としての転職が妥当であることが整理できます。

競合と比較して最適な理由

いわゆる志望動機でイメージするのはここかと思います。

  • なぜその業界なのか
  • なぜその企業なのか
  • なぜその部門、職種なのか
  • 自分がその企業、部門に対しどのように貢献できると考えているのか、その理由

これを整理しましょう。重要なのは事実や確かな情報に基づいて考えることです。志望企業が上場企業であればIR資料や中期経営計画、ファクトブックやニュースリリースなどを元にその企業の今後の事業計画などを理解し、そこに自分の経験がどのように活かせるのかを考えてください。

志望動機作成の注意点

「やる気」と「好きだから」を推さない

志望動機で避けた方がいいものがいくつかあります。

  • 未経験ですがやる気はあります
  • 成長したいからです
  • サービスや商品が好きだからです
  • 企業理念に共感したからです

といったものは避けた方がいいと思います。実際に私が転職活動をして居た時、自己分析や企業分析が不十分だった時には上のような志望動機になって居ましたが、軒並み面接官の反応は悪かったです。

上記でよくないのは「そう思うのはなぜ?どのように行動して会社にどういう貢献ができるの?」という視点が欠けているということです。それが欠けていると他の企業でも同じことが言えてしまい、むしろマイナスの印象になってしまいます。中途採用は企業の事業拡大や人員補填などの理由があります。そこを補完できる人材であるということが上記だけでは足りません。

当然、やる気や共感は大切ですし、商品への思いは重要な原動力になります。それらがある前提として、なぜ共感したり好きになったりしたのか、それをよりよくするために自分に何ができるのかをを考えるのが良いかと思います。

ストーリーの一貫性

志望動機の優劣でイコール採用/不採用を判断されにくいとは思いますが、志望動機は面接の序盤で聞かれることが多いため、面接全体の雰囲気を左右します。ここで好印象をつけられると良い結果に結びつく確率は上がると思われます。

昨今、猫も杓子もストーリーと言われますが、重要なのは背景やきっかけ、問題意識とその解決などが順序立てて語られているかどうかです。それが起承転結でも序破急でもなんでも良いかと思いますが、全体として整合しているかどうか気にしながら組み立てましょう。

志望動機では自分の問題意識やその背景、解決策としての転職を説明することになりますので、ストーリーがしっかりできていて、なおかつ整合性や筋が通っていると説得力が増します。うまく組み上がらない、論理が破綻している場合は自己分析の掘り下げが不足しているか、または「そもそも転職しない方がいい」という判断にもなることもあるかとと思います。

転職活動は自分という商品を提案する営業活動と考えると、面接は自分を提案する商談、志望動機は「この商品がいいと思う理由」といった部分になり、興味を持ってもらう役割があります。その上で、機能性やメリットデメリットなどを自己PRで提案するという流れです。

新卒時の内容も復習しておく

志望動機には入れなくて良いですが、話せる準備はしておきましょう。転職の面接ではほぼ毎回聞かれました。これは学生時代に考えてた内容や仮説が正しいかどうかや、それが今も一貫しているかを聞かれているわけではないと思います。正直、社会人になっていない学生時代に考えていた内容が正確かどうかもわかりませんし、働いている中で考え方が変わることはむしろ歓迎すべきことです。

考え方が変わったとして、

  • 何がどのように変わったのか
  • そのきっかけや経緯は何なのか
  • 今は何を大切に考えているのか

を整理すると良いかと思います。

刺さる志望動機の構成

志望動機と合わせ、転職の面接の場合は「なぜ転職しようと考えているのか」も必ず聞かれます。それも踏まえて組み立てておき、面接官との雰囲気に合わせて「転職理由」「志望動機」を伝えましょう。

2度の異業種転職では、下記のような構成に仕上げていると企業の反応が良かったです

  • 結論(目指す姿・異業種転職で成し遂げたいこと)
  • 背景ときっかけ
  • 問題意識
  • 社内異動ではダメな理由
  • なぜこのタイミングなのか
  • 未経験という懸念払拭への姿勢

上記で説明したストーリーというのはこういった構成であれば伝わりやすかったです。この6つの要素間と全体の整合性が取れれば、説得力のある志望動機が組み立てられると思います。

作成後の見直し

スクリプト化

志望動機は実際に自分が話す内容ですので、スクリプト化(文章化)することをオススメします。

文章にしてみると、

  • そもそも日本語としておかしいこと
  • 言語化が甘く情報に過不足があること
  • 論理が通っておらず破綻していること

昨今の転職活動はほとんどオンライン化されています。そのため、対面では通じやすい人柄や雰囲気などが画面越しでは伝わらず、言語化された内容や論理の整合性、それらを十分に伝えられるかどうかが非常に重要です。

また、転職エージェントに面接対策を依頼する際にも、「志望動機はこのような内容で考えています」ということを文章で精査してもらえるので便利です。wordなどで作っておけば、転職エージェントによっては添削してくれるので非常に有効です。

声に出して推敲する

出来上がったスクリプトは、実際に声に出して確認しましょう。声に出すと文章として破綻しているところや繋がりの悪い部分が音として理解できます。当然、面接は口頭で説明することになるため、文章で読んで理解できても口頭で伝わらなければもったいないです。

この時、暗唱できるぐらい繰り返し声に出すことが重要です。丸暗記するためではなく、自然と口から出るくらいになっていれば、面接官の反応を見ながら臨機応変に対応できるからです。

口から出して推敲することで、自分の口や耳で確認できます。この時、自分で違和感を感じるならば、他人である面接官も当然違和感を感じます。内容や人柄など、伝えるべき内容だけに面接官の意識を集中してもらえるよう、不要なものは除外できるよう準備しておきましょう。

転職エージェントに相談し、企業ごとに変える

当然ではありますが、志望動機は企業によって変えましょう。

業界が同じでも、企業によって得意不得意、大事にしている内容や文化は異なります。webサイトやIR資料、openworkなどの外部サービスなどを使い可能な限り情報収集を行い、相手企業に合わせて作り変えてください。

例えば、IT企業の営業職(インサイドセールス)だったとしても、商談数を重視するのか、商談後のフィールドセールスの受注率を重視するのか、など様々な部分が企業によって異なります。自分が考えている内容を相手に合わせて一部組み替えるのは重要です。

この時、企業の実態が見えない部分もあるため、ぜひ転職エージェントに相談しましょう。転職エージェントにはRA(リクルーティングアドバイザー)という企業担当の営業がおり、企業の内容を把握しています。それをCA(キャリアアドバイザー)と共有することで企業文化に合いそうな求職者を探しています。CAに聞く、場合によってはRAと直接電話や面談させてくれることもあるので、それを元に志望企業の実態を少しでも把握しましょう。

  • CA:スクリプトの添削や模擬面接などの対策
  • RA:企業の実態のヒアリング

面接する全企業に実施するのはかなりの工数を要するので、志望度の特に高い企業について依頼しましょう。

ただし、相手に合わせようとするあまり、骨子となる部分を変えてしまったり、嘘や事実と異なる部分を伝えるのは避けましょう。嘘が混じると腹落ちした提案はしにくいですし、そもそもそれで転職できたとしても、嘘を抱えたまま働いているとどこかで引っ掛かりが生じます。本音を相手が受け入れやすい仕立てにして渡すようにしましょう。

まとめ

今回は、異業種転職で考えるべき志望動機の組み立て方について振り返りました。

志望動機は

目的
  ・志望動機は仮説思考と実態の擦り合わせ
考えるべき内容
   ①自分が抱く問題意識
   ②異業種転職でなぜその問題が解決し得るのか(なぜ現職ではダメで、その仕事なのか)
   ③競合と比較して
避けるべき伝え方
  ・未経験ですがやる気はあります
  ・成長したいからです
  ・サービスや商品が好きだからです
  ・企業理念に共感したからです
構成する際の注意点
  ストーリーと説得力
  ・新卒時の企業選択の軸や志望動機、現在までの変化も振り返る
オススメの構成
  ①結論(目指す姿・異業種転職で成し遂げたいこと)
  ②背景ときっかけ
  ③問題意識
  ④社内移動ではダメな理由
  ⑤なぜこのタイミングなのか
  ⑥未経験という懸念払拭への姿勢
仕上げ方
  ・スクリプト化する
  ・声に出して読み上げる
  ・転職エージェントに相談し、企業ごとに変える

 あとはやるのみ!

面接では志望動機は採用の決定要因にはなりにくいかもしれませんが、面接全体の雰囲気を左右しやすいものです。ここで面接官が「この求職者はしっかり考えているな」と思うか「この求職者は準備もせずなんとなくで面接に望んでいるな」と思うかでその後の進み方は大きく変わります。

序盤で流れを掴み取り、良い面接の場となるよう志望動機を作り上げてください。言語化する中で自分の価値観や考え方も整理できるので、転職活動の根本にしっかりした思考の土台も出来上がります。

志望動機ができたら、自己PRもしっかり準備しましょう。自己PRの作り方は下記の記事で紹介しています。

今回は志望動機の組み立て方を考えてみました。

ご自身が何を大事にしているのか、今後どうしたいのかを自分自身に腹落ちさせ、良い転職活動を。

ありがとうございました。またどうぞお越しくださいませ。

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