いらっしゃいませ。ワタリです。
このブログは新卒で小売業に入社し、店舗勤務→人材業界→IT業界と、2回の異業種転職をしてきた実体験をもとに、異業種転職のポイントをまとめています。
役職アップ・年収アップや、希望している企業の仕事、目指している働き方を目指すにあたり、異業種転職は有効な手段だと思っています。
今回は、異業種転職を活用したキャリアアップのポイントについてご紹介します。
年収アップ・役職アップ・職種を変える を希望するなら転職した方が早い
現在所属している企業で年収を上げる、そのために昇進するというのはイメージできるでしょうか。ベンチャー企業や外資系、フルコミッションの営業職であれば成果が給料に反映されたり、昇進も早かったりすることもあると思います。
しかし、多くの企業ではドカンと給料が増えたりいきなり役職が上がることはあまりないと思います。ほとんどの場合、給与制度・等級制度などである程度年功序列の給料体系が決まっており、いわゆる「上が詰まっている」状態で昇進待ちになることもあると思います。
しかし、転職であれば数十万円〜百万円単位での年収アップや、役職アップでの受け入れの可能性もあります。当然条件はありますが、現職で続けている場合と比べ多くの場合年収アップのチャンスは掴みやすくなると思います。
転職を考える軸:転職市場や中途採用は業種×職種で考える
転職するという場合には、業種×職種の2つの軸で考える必要があります。同じ業種でも所属部門や担当する仕事によってやっていることは全く違います。同様に、同じ職種でも業種が違うと商習慣ややり方、使っているシステムや関係者などが変わってきます。
私の場合、目標とする仕事を「どの業種のどの職種か」と狙いを定めて転職活動することでうまくいっていました。このとき、自分の経験やスキルも業種と職種で分けて整理すると職務経歴書や面接で自分を提案するときに有効でした。
転職のリスク:業種・職種両方を一度に変えるのはリスク
業種・職種のどちらかを変えることはキャリアチェンジには有効ですが、両方を一度に変えるのはリスクが高いです。かくいう私自身、転職2回とも業種・職種共に変えていますが、入社後に業務に慣れるまでとても大変でした。
試行錯誤しながら徐々に仕事で成果を出せるようになりましたが、これは周りのメンバーに恵まれたことが大きいです。特に小売店→人材営業になった時は仕事のやり方や考え方がほとんど真逆だったため、精神的にも苦しかったのを覚えています。
万が一メンバーに恵まれていなかったらおそらくうまくいかずに早期退職していたと思います。
変えやすいのは業種
業種・職種のどちらを変えるかについては、業種を変える方がやりやすいと思います。職種が同じであれば、色々と違いはあるものの達成すべきミッションは基本的にそう変わらないと思います(営業であれば目標売上高の達成、マーケティングであれば見込み顧客の創出数、など)。転職前と後の業種の違いは上司や先輩に質問しながら共通点と相違点を明らかにし、擦り合わせていけば比較的対処しやすいです。
しかし、職種を変更するとなると仕事のやり方が全く変わってくるため、ある意味「自分は新卒と同じ」で仕事のやり方を一つ一つ学ぶ必要があります。ただし、中途は即戦力または早期の戦力化が前提になっていることが多いため、ある程度自分でキャッチアップして積極的に身につけていく必要があります。
先に変えるべきは職種
目標とする業種・職種があり、どちらも今の仕事は違うという場合、先に転職で変えるべきは職種だと考えています。というのも、多くの中途採用の求人では必須要件または歓迎要件に「◯◯に関する経験〜年以上」という実務経験必須の記載がなされています。経験年数で書類判断が進みますので、少しでも早くその職種の仕事にキャリアチェンジすることで経験年数が積めます。
実際、30代以降に職種を変えるのはかなり思いきりが必要です。20代前半〜半ばであれば、まだバイタリティや積極性で受け入れられる余地も大きいと感じます。
職種の変更を優先する場合は転職より先に社内異動を検討しても良いかと思います。社内異動の制度そのものがない、あるけど機能していない、活用されているが自部署だと上司ブロックが入り移動できないなど、懸念がある場合は転職で職種を変えてしまうのは有効です。
転職の方針:複数回の転職を見据えておく
業種・職種共に希望している仕事と一致していない場合、転職でキャリアチェンジをしながら業種と職種を一致させていくことになります。加えて、業種と職種が一致したとしても、大手企業での就業経験が実際には必要になることがあります。
そうすると、場合によっては3回の転職を経て希望する仕事に近づいていく、という戦略を取ることになります。できれば転職回数は少ない方が楽ですし、転職回数が増えると書類審査で弾かれることも増えるため、できるだけ少ない回数で希望職に近づけるよう作戦を練りましょう。

この時、単発の転職ではなく、将来的なキャリア形成を見据えたキャリアパートナーのような人と出会えると、その後の戦略の修正や転職市場の状況、自分の立ち位置を整理できるので、ぜひ色々な転職エージェントに相談しながらパートナーたり得る人を見つけてください。
転職のポイント:共通点と相違点の見極め
業種または職種を変える場合、今の仕事の多くは転職先で直接活かせなくなります。しかし、活かせる部分や応用できる部分はあるはずなので、整理しておく必要があります。やってみて良かったのは下記のようにして分類することです。
- ①2つの軸で分類するための箱を書き出す
軸1:業種/職種
軸2:ポータブルスキル/テクニカルスキル - ②自分の経験やスキルを書き出す
- ③転職希望先で求められている経験やスキルも書き出す
求人の「必須要件」「歓迎要件」を参考にする
- ④各項目を①で作った4つの分類に配置する
- ⑤同じ箱に入っている項目で共通点と相違点を考える

テクニカルスキル:その業種や職種で身につけ、活用する専門的なスキルのこと ポータブルスキル:色々な業種や職種で利用できる、スタンスや仕事の仕方などのスキルのこと
現職と転職希望先それぞれで重複する内容があれば応用できる可能性があるということですし、重複が無い・似ているものが無い場合は習得に向け動く必要がある部分です。求人の必須要件が重複していない場合、基本的に応募しても進捗しないので気をつけましょう。
ここまで分けるのが面倒な場合、シンプルに共通点と相違点を比べてみることでも見えてきます。
例えば、小売×販売から人材×営業へと異業種転職しようとしている場合を見てみましょう。
共通点
・数値目標は売上高
・豊富な商品知識が必要
・お客様と商談や会話を通して商品を提案する
・お客様の要望や課題を聞き出す力が求められる
・本音を引き出せる関係構築力が求められる
・クロージング力が求められる
・話しやすい雰囲気があるといい
こういう共通点が挙げられました。例えばこの共通点のうち、「提案力」「クロージング力」に強みがあるという場合、プッシュ型で営業力を求めている企業との相性は良いと考えられるかもしれません。では、相違点はどうでしょうか。
小売×販売 | 相違点 | 人材×営業 |
BtoC・消費者 | 顧客 | BtoB・決裁者 |
有形 | 商材 | 無形 |
インバウンド | 顧客接点 | アウトバウンド |
既存顧客(商圏内) | 新規/既存 | 新規開拓 |
低単価 | 単価 | 高単価 |
購入者と決裁者が同じ | 購入者と決裁者 | 購入者と決裁者が違う |
短い | リードタイム | 長い |
例えばこういう相違点が得られました。いかに提案力やクロージング力が優れていたとしても、これまではインバウンドで自然にお客様から相談を頂ける環境だったから強みが生かされていたのかもしれません。しかし、希望先の業種や企業が顧客接点をアウトバウンド、つまり自分からお客様にアプローチして商談を作らなければならない場合、提案力やクロージング力が活かせないかもしれません。
その場合、アウトバウンド営業の経験はなくとも例えば「外部に自発的に行動してきた経験」があれば、見込み有りとして評価してもらえるかもしれません。
このように、相違点≒未経験領域・スキルについては直接その経験はなくとも必要なスタンスやマインドは持っていることを示すことができれば、一定の評価は得られる可能性があります。しかし、このギャップを埋めるために付け焼き刃で「◯◯できます」と伝えても見透かされます(選考でうまく進んでも誤魔化して入社すると結局入社後に自分が困ります)。そのため、自分が関心のある業種・職種に必要だが自分に今足りないものを補える仕事ぶり・行動・スタンス・マインドを日頃から意識して働くことが重要だと思います。
とはいえ、上記の企業側の部分の実態や、どの要素が希望している求人で重要なのかは求職者側からは見えにくいのが現実です。そこで、転職エージェントを活用することが重要です。
転職で活用すべき:転職エージェント
上記のように自分と転職希望先に求められる経験・スキルを分類した後、転職エージェントを活用することで、異業種転職で考慮すべき内容を深掘りできます。
- ある求人にどの要素がフィットするのか
- 自分は「ここが強み」と考えているが妥当か
- 希望している業種・職種や求人で重要な要素はどれか
- 自分の経験やスキルの中で重要な要素に応用できるものはどれか
- 相違点の中で重要なものはどれか
- 重要な相違点を埋めるためにどのように提案するべきか
を整理していくことができます。
特に、転職エージェントには企業担当がおり、日々企業から求人をもらうだけでなくその企業の課題やどういうことを大事にしているかという情報交換を行っています。この情報をもらうことで、個人で手探りで転職活動をする場合に比べ、実態に沿った提案をしていくことが可能です。
ただし、転職エージェントも人間なので、中には自分とは相性が悪い人もいます。むしろ、「絶対にこの人がドンピシャだ」という人にいきなり出会えることの方が稀でしょう。異業種転職でキャリアアップを図る場合、転職は1回きりにはならず中長期的なキャリア形成を狙っていくことになると思います。そんな時に、自分のスキル・これまでの経験や考え方を理解し、転職市場と求人状況を元にパートナーとして伴走できる人が見つかると、その後のキャリア形成がスムーズになります。
良いパートナーと出会う確率を高めるためにも、複数の転職エージェントに登録・面談しやりとりをしていく中で相性のいい人と巡り会えるようにすることをオススメします。
未経験領域に踏み込む時には作戦が重要です。良い作戦を立てられるときっとキャリアアップの可能性が広がります。一度やってみては如何でしょうか。
このブログがあなたの転職活動やキャリア形成のお役に立てると嬉しいです。
ありがとうございました。またどうぞお越しくださいませ。